線形代数(マセマ) P.202 標準形の操作の意味

P.202に以下の文言がある。

この操作(引用者注:二次形式を標準形にすること)は、対称行列を直交行列によって対角化することと同じである。

これはどういう意味だろうか。また、なぜ(二次形式から変形した)対称行列を直交行列によって対角化すると、二次形式を標準形に変形できるのであろうか。

まずはP.203の例題(2)に、この文言を当てはめてその意味を明らかにしていこう。この解答の冒頭に以下の1行がある。

$$
2{x_{1}}^{2} + 4x_{1}x_{2} -1{x_{2}}^{2} = \begin{bmatrix} x_{1} & x_{2} \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 2 & 2 \\ 2 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x_{1} \\ x_{2} \end{bmatrix} \tag{1}
$$

この上式の
$$
\begin{bmatrix} 2 & 2 \\ 2 & -1 \end{bmatrix}
$$
の部分が、P.202対称行列をに対応する(上記の行列は対称行列であることに注意)。

次に、例題(2)の解答の最後の2行に注目しよう。

$$
= \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} & {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix} \mathbf{U}^{-1}\mathbf{AU} \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} \\ {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix} \\
= \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} & {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3 & 0 \\ 0 & -2 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} \\ {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix}
$$

この上式の
$$
\mathbf{U}^{-1}\mathbf{AU}
$$
から
$$
\begin{bmatrix} 3 & 0 \\ 0 & -2 \end{bmatrix}
$$
への変形が、P.202直交行列によって対角化するに対応するのである。

最後に、なぜ対称行列を直交行列によって対角化すると、二次形式を標準形に変形できるのかを明らかにしよう。厳密な証明を省いて直感的に説明すると、今まで説明した操作により、二次形式は常に以下の形に変形できる(n=2の場合)。
$$
二次形式 = … = \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} & {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix} \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix} \begin{bmatrix} {x_{1}}^{‘} \\ {x_{2}}^{‘} \end{bmatrix}
$$
上式の対角行列(α、βを含む行列)は、直交行列による対角化によって常に現れることに注目しよう。従って上式を変形すると、二次形式を標準形に常に変形できることになる。
$$
\alpha {x_{1}}^{‘2} + \beta {x_{2}}^{‘2}
$$
以上より、対称行列を直交行列によって対角化すると、二次形式を標準形に変形できると言える。