線形代数(マセマ) P.188 2つの元のなす角の定義

 P.1882つの元のなす角の定義は、以下のようになっている。

$$
計量線形空間\mathbf{V}の\mathbf{0}でない2つの元\mathbf{a},\mathbf{b}に対して、\\
\cos\theta = \frac{\mathbf{a} \cdot \mathbf{b}}{\Vert \mathbf{a} \Vert \ \Vert \mathbf{b} \Vert} \\
とおくと、-1 \leq \cos\theta \leq 1 より、 \\
[ 0, \pi ]の範囲に、一意的に\thetaの値が定まる。\\
この\thetaを\mathbf{a}と\mathbf{b}の”なす角”と定義する。
$$


これに対して、高校数学では内積は以下のように定義されていた。
$$
2つのベクトル\mathbf{a}、\mathbf{b}のなす角を\thetaとする時、\\
内積\mathbf{a} \cdot \mathbf{b}は次の式で定義する。\\
\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = \Vert \mathbf{a} \Vert \ \Vert \mathbf{b} \Vert \cos\theta
$$
 なぜ線形代数では、シュワルツの不等式から、なす角θを定義する(P188)のだろうか。それは、計量線形空間では高校数学のように元(高校数学ではベクトル)を矢印で視覚的に表現できず、直感的になす角を定義できないからである。

 例えば、先ほどの高校数学での内積の定義では、同時になす角も定義されていることに気付いただろうか。
$$
2つのベクトル\mathbf{a}、\mathbf{b}のなす角を\thetaとする\\
$$

この文言を読んで普通は以下のような図をイメージする。

このように高校生は、なす角の定義を視覚的に把握していたのである。

 しかし、計量線形空間では4次元以上の元が存在しうるため視覚的になす角を把握できない。そのため、シュワルツの不等式からなす角θを改めて定義することにしたと思われる。